2017年9月19日火曜日

文献ゼミの2017年度後半戦がスタートしました

9月に入り、2017年度も後半を迎えようとしています。
以前のブログ記事でも紹介したように、腸内細菌共生機構学講座では、二週間に一度の頻度で文献紹介ゼミを行っています。
一人あたり一年間で二回担当することになっているのですが、この文献紹介ゼミも後半戦がスタートしました。

9月14日の文献紹介ゼミで、研究員の杉山友太さんが「Variation in Microbiome LPS Immunogenicity Contributes to Autoimmunity in Humans.(腸内細菌叢のリポ多糖は様々な強さの免疫原性を持ち、このリポ多糖の組成がヒトの自己免疫異常に寄与する)」を紹介しました。

プレゼンテーション中の杉山研究員


この文献は「衛生仮説」と腸内細菌叢に注目したものです。
衛生仮説では、幼少期に衛生状態があまりに良い環境で過ごすと、免疫系の正常な発達が阻まれ、自己免疫疾患になりやすくなると言われています。

Espoo (フィンランド)、Tartu (エストニア) および Petrozavodsk (ロシア)の3つの町では、住民の遺伝的背景がよく似ているにも関わらず、自己免疫疾患の発症率Petrozavodsk (ロシア)と比較して、Espoo (フィンランド)・Tartu (エストニア)では非常に高い(人口比で数倍以上)ことが知られています。

この文献では、この違いが3つの町の乳児の腸内細菌叢の違いによるものではないかと仮定して研究を進めました。

この結果、Espoo (フィンランド)・Tartu (エストニア)では、Petrozavodsk (ロシア)と比較して、Bacteroides属細菌が非常に多く検出されることがわかりました。また、Petrozavodsk (ロシア)ではBifidobacterium属細菌が、Espoo (フィンランド)、・Tartu (エストニア)と比較してやや多いという結果が出ていました。

著者らは、衛生状態のよいEspoo (フィンランド)、Tartu (エストニア)の乳児糞便から多く検出されるBacteroides属細菌から出て来るリポ多糖は、免疫を刺激する効果が低いために、免疫を刺激する効果の高い大腸菌の仲間(大人の腸内細菌叢には少ないですが、乳児の腸内細菌叢にはかなり多いことが知られています。)のリポ多糖による宿主への免疫刺激を弱めてしまう結果、宿主の免疫が未成熟になってしまい、自己免疫疾患が起こりやすくなると主張しています。Petrozavodsk (ロシア)の乳児の糞便では、このBacteroides属細菌が少なく、大腸菌の仲間のリポ多糖による免疫刺激がよりダイレクトに乳児に伝わることによって免疫の成熟がより促進され、自己免疫疾患が起こりにくくなるということのようです。

この文献の中で免疫刺激を弱めるリポ多糖を出すBacteroides属細菌の代表として扱われていたBacteroides doreiですが、なんと、栗原先生の共同研究者の松本先生のお知り合いのマサピヨさんから世界で初めて単離された菌種とのことで、皆さん驚いていました。

【平野】

2017年9月12日火曜日

「東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 第16回 ポリアミンと核酸の共進化」で私・太田が発表し、優秀発表者賞を受賞しました。

 9月9日、土曜日に東京慈恵会医科大学にて学外共同シンポジウム 「第16回 ポリアミンと核酸の共進化」が開催されました。会場のF棟は昭和初期に建設された歴史深い建造物であり、非常に趣深い会場でした。

 発表は4セッションに分けられ、各セッションの座長は学生が務めました。
 私は初めての口頭発表で緊張していた上に、思った以上に余裕のない移動スケジュールを組んでしまったため、スーツ姿に汗を滲ませながらの発表開始となりました。発表は時間を最大限に使って説明することができ、質問にも自分なりに答えることができました。


シンポジウムの要旨集

 発表の後には近くの会場(ディナギャンドス)で懇親会も行われました。普段話すことができない慈恵医大、千葉大、千葉工大を始めとする大学の先生方や学生とお酒を飲みながらお話しすることができました。懇親会は本当にいい雰囲気で、研究や実験に関する情報交換や楽しいお話で終盤まで盛り上がっていました。

 また、最後には優秀発表者賞、優秀質問者賞が発表され、私は今回、優秀発表者賞を受賞することができました。

東京慈恵会医科大学 学長の松藤千弥先生と



 今回は素晴らしい会場で貴重な経験をさせて頂きました。今後も学会発表や学術論文でのできるよう、研究を頑張りたいと思います。
【太田】

2017年9月5日火曜日

修士一年生の太田さんが「東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 第16回 ポリアミンと核酸の共進化」に向けて準備を行っています。

 修士一年生の太田宏一さんが、「東京慈恵会医科大学 学外共同シンポジウム 第16回 ポリアミンと核酸の共進化」への参加に向けて準備を行っています。
 この会議は、9月11日に東京慈恵会医科大学にて開催され、ポリアミンに関する研究を行う研究者や学生が集まり、研究の情報交換や交流が行われる予定とのことです。
学生の参加者を中心に研究の口頭発表も行われ、そこで太田さんも発表を予定しています。



口頭発表の練習に励む太田さん



 学外の発表について太田さんはこれまでに、ポスター発表の経験はありますが、口頭発表を行うのは初めてとのことです。
 口頭発表では、発表時間が限られますが、その中でも自分の研究をより知ってもらえるようにと、気を引き締めて準備に取り組んでいました。
太田さん、応援しています!

【平野】

2017年8月29日火曜日

石川県立大学 腸内細菌共生機構学寄附講座(IFO)シンポジウム 「北陸の微生物研究」の準備をしています

 8月3日更新のブログでもお知らせいたしましたが、8月31日(木)午後1時から腸内細菌共生機構学講座(IFO)シンポジウム「北陸の微生物研究」が金沢 東急ホテルで開催されます。
 私自身もポスター発表を行うために準備をしています。私は今回のシンポジウムが初めての学校外での発表となるため、今から緊張しています。




 腸内細菌共生機構学講座のメンバーはシンポジウム中のサポートを務めさせていただきます。当日何かお困りのことがございましたらお気軽にお声がけください。皆様にお会いできることを楽しみにしております。
【前田】

2017年8月22日火曜日

新しいスターラーを導入しました。

 腸内細菌共生機構学寄附講座は間もなく開設4年目を迎え、開設当初に購入した機器の中には不具合が生じるものも出てきました。その中の一つにマグネティックスターラーが挙げられます。
 マグネティックスターラー(以下スターラー)とは、磁力を利用して撹拌子を回転させることで液体を混ぜる装置です。水に試薬を溶かす際に、スターラーを使うことで効率よく試薬を溶かし、撹拌することができる非常に便利な装置で、私たちの研究室にとってスターラーは無くてはならない機器です。
 このスターラーが不具合を起こすようになったため、研究室で新たなスターラーを購入することになり、先日購入したスターラーが届き、研究室に設置されました。


新品のスターラー


ビーカーに水を入れて撹拌する様子

 
 新たに導入されたスターラーはビーカーを乗せる天板を550℃まで温めることができ、液体を撹拌しながら温めることができるという優れものです!従来、スターラーを用いて撹拌しても水に溶けきらない試薬は、ウォーターバスを使って水の温度を上げてスターラーで撹拌していました。この作業はとても大変で、時間がかかってしまいます。しかし、新しいスターラーを使えば、水を温めながら、同時に撹拌もすることができるため、非常に便利です。今後はこのスターラーが実験で大活躍することでしょう。

【太田】

2017年8月9日水曜日

オープンキャンパスで研究室紹介を行いました。

 8月5日に石川県立大学のオープンキャンパスが開催されました。
 このオープンキャンパスでは、学内の施設見学や学食体験、講義や実験の体験等、さまざまな催しが開かれました。
 私達、腸内細菌共生機構学講座では、ポスターを展示し、研究室について紹介しました。

ポスター展示の様子


 私がお話しした方の中には、埼玉県からお越しになった方もいました。
 石川県内から、遠方の都道府県まで多くの方にオープンキャンパスに参加して頂けたようです。

 また、「微生物に興味があるんです!」とお話ししてくださった高校生もいました。
 
 今回のオープンキャンパスで、大学のことや研究・学問について少しでも興味を深めてもらえたら嬉しいです。

【平野】

2017年8月3日木曜日

2017年8月31日 石川県立大学 腸内細菌共生機構学寄附講座(IFO)シンポジウム 「北陸の微生物研究」を開催します。

 8月31日(木)、午後1時から、金沢 東急ホテルにて、高校生、大学生、大学院生、研究者を対象に、石川県立大学 腸内細菌共生機構学寄附講座(IFO)シンポジウム「北陸の微生物研究」を開催します。
 石川県大、金沢大、福井県大から世界的なレベルで微生物研究を行っておられる若手研究者をお招きしてご講演頂くほか、腸内細菌共生機構学講座からも栗原と阪中が発表します。
 また、バイオテクノロジー報道の第一人者である日経BP社特命編集委員の宮田満氏と、様々な生物由来の酵素を用いた有用物質生産を通じた産業利用についての研究で数多くの大型国家プロジェクトを率いておられる富山県立大学の浅野泰久先生に、それぞれ特別講演を行っていただきます。
 シンポジウム・懇親会ともに参加費は不要ですが、事前登録が必要です。定員は100名です。腸内細菌共生機構学寄附講座シンポジウム「北陸の微生物研究」参加登録フォームより、ご登録ください。多くの方々のご参加をお待ちしております。(未成年の方は懇親会には出席できません。申し訳ありません。)


シンポジウムポスター


プログラム

セッション1: 物質生産と微生物
講演1     中川明(石川県大・講師) 
「大腸菌を用いたベンジルイソキノリンアルカロイド生産系の構築」(13:00-13:30)
講演2     濱野吉十(福井県大・教授) 
「天然物生合成研究に見出したペプチド結合形成を触媒する新規微生物酵素」(13:30-14:00)
特別講演1 浅野泰久(富山県大・教授) 
「動植物の酵素工学 -微生物とどう違うか-」(14:00-14:45)

休憩

セッション2: ヒト健康と腸内細菌  
講演3     飯田宗穂(金沢大・助教) 
「腸内細菌叢のdysbiosisと肝発癌」(15:00-15:30)
講演4     阪中幹祥(石川県大・寄附講座助教) 
「ビフィズス菌におけるヒト母乳オリゴ糖の利用戦略」(15:30-16:00)
講演5     栗原新(石川県大・寄附講座准教授) 
「腸内細菌最優勢種を用いた腸内細菌叢の機能制御」(16:00-16:30)

ポスター発表(16:30-17:15)

セッション3: 
特別講演2 宮田満(日経BP社特命編集員/(株)宮田総研社長) 
「バイオテクノロジーの最新潮流2017」(17:15-18:00)


【栗原】