2015年12月22日火曜日

新潟大学農学部食品糖質科学研究室の方々と極上魚沼米を食べました。

 1214日~17日に腸内細菌の糖資化性の研究をされている新潟大学農学部食品糖質科学研究室の中井博之先生、杉本直久先生、修士1年の江口省吾さん、学部4年生の太田尾朱音さん、大森理紗子さんが共同実験をするために腸内細菌共生機構学研究室に来られました。

中井先生から新潟県魚沼産コシヒカリの精米を頂きました。


極上魚沼米。文言に加え、布袋がさらに高級感を漂わせます。


このお米を研究室で炊いて、食品糖質科学研究室の方々と私たちの研究室メンバーで食べました。



炊き立てのご飯。
お米は一粒一粒がしっかりしていて、噛めば噛むほど甘みが出ました。

 あまりにもおいしくて、私・奈良はお茶碗3杯分もご飯を食べました。
 おいしいお米を食べることができたおかげで、午後は元気に実験もすることができました。

食品糖質科学研究室の学生さんは実験中だったので、
一緒にご飯を食べることができませんでした。



 中井先生、おいしいお米を本当にありがとうございました。

2015年12月15日火曜日

腸内細菌を生やすためのひき肉入り培地

 ヒトの腸内には100種類以上の腸内細菌が存在し、ヒトの健康に影響を与えています。この影響について詳しく知るために、私はヒトの腸内で優勢な腸内細菌について研究を行っています。この優勢な腸内細菌のうち上位56種については学術論文で既に報告されています(Nature, 464:59-65 (2010))。私たち研究室では、この56種のうち国内外の菌株保存・分譲機関から入手可能な42種の腸内細菌を購入しました。

 多くの腸内細菌はフリーズドライによって粉末化された「フリーズドライ菌体」の状態で菌株保存・分譲機関から送られてきます。しかし、フリーズドライ菌体のままでは実験に使うことができません。そこで培養を行うのですが、腸内細菌は培養が難しいものが多く、実験でよく使う作製が簡単な培地では培養できない場合があります。腸内細菌は1種類につき約8,000円~40,000円もする高価なものなので、「培養できなかった」ということで、無駄にするわけにはいきません。そこで私は最初に、細菌の保存・分譲機関が腸内細菌ごとに推奨している培地(推奨培地)を用いて腸内細菌の培養を確実に行おうと考え、42種の腸内細菌を培養するために必要な14種類の推奨培地を作製しました。推奨培地はどれも作製法が複雑で、1つの培地を作製するのに1~2日かけなければなりませんでした。

 推奨培地の作製で最も驚いた点は6つの推奨培地に“脂肪を含まない生の牛ひき肉を煮たもの”を入れなければならなかったことです。この肉入りの推奨培地を作製する度に、スーパーで生の和牛ひき肉からわざわざ脂肪を取り除いてもらったものを購入しなくてはなりませんでした。



推奨培地用に購入した脂肪を取り除いた和牛ひき肉。
100 g当たり423円もする高級な肉です。

この真っ赤な牛ひき肉を鍋で煮た後に、


実験というより、料理を作っているみたいです。



様々な工程を経て推奨培地を完成させました。


完成した肉入りの推奨培地の一つ。培地に入っている粒が牛ひき肉です。


 これらの推奨培地に腸内細菌のフリーズドライ菌体を植えたところ、購入した42種の腸内細菌のうち41種の腸内細菌の培養に成功しました。目的の腸内細菌を培養できて安心しましたが、もっと作製が簡単な培地を推奨してほしかったと思いました。

2015年12月8日火曜日

新しい物質の精製実験

 自然界にはこれまでに人類が発見したことのない物質(新規化合物)がたくさんあると考えられます。私・奈良も、ある物質が新規化合物ではないかと考え、2ヶ月ほど実験をしています。この物質が新規化合物であると証明するには、この物質の化学構造を解明しなくてはなりません。物質の化学構造を解明するには、その物質を純粋なものにする必要があります。自然界の物質は、様々なものと一緒に混ざった状態にあり、化学構造の解明には適さないからです。そこで、実験室では「ある物質を純粋なものにする実験」がよく行われ、この実験のことを「精製実験」と呼んでいます。この実験には下の写真のような「カラム」という装置を使います。



自作のカラム



また、カラム内にある茶色の部分には様々な物質を結合させることのできる樹脂(以下、レジンと書きます)が入れてあります。まず精製したい物質を含む混合物をカラムに通して、精製したい物質をレジンに結合させます。この時、レジンに結合しない物質はカラムを素通りしていきますので、目的物質の精製度(純粋さの度合い)を上げることが出来ます。もちろん目的物質以外の物質の中にもレジンに結合してしまう物質がいます。そこで、次は、レジンと物質の結合を解き、カラムから溶出させるための液(溶出液)をカラムに通していきます。溶出液を工夫することで、目的物質のみを含んだ溶液を得ることが出来ます。

 この実験を今年の10月から行っていますがまだ物質の精製には成功していません。溶出液を流している時に溶出液が通るチューブが破れ、精製したい物質を含む溶出液を実験台一面にこぼす、カラムに溶出液を流したまましばらく放置していたら、カラムに液体が流れずにカラムを枯らす(カラムの中のレジンは溶出液に浸った状態にしておかなくてはならないのですが、溶出液をうまくカラムに送れなくなった結果、この液体がなくなり、干上がってしまうことを「カラムが枯れる」と言います。)・・等の失敗を経て、今は写真1の3代目のカラムでの精製に挑戦をしているところです。

 今回こそは物質の精製を成功させたいです。そのためには今まで経験してきた失敗を繰り返さないように心がけようと思います。

2015年12月1日火曜日

第8回北陸合同バイオシンポジウムの実行委員の先生方とスタッフでシンポジウムの反省会を行いました

 11月27日に第8回北陸合同バイオシンポジウムの実行委員の先生方とスタッフで反省会を兼ねた飲み会を行いました。

 もちろん反省会なので、ただお酒を飲んだだけではありません。飲み会の途中で、シンポジウムの参加者の方々から頂いたシンポジウムを評価したアンケートの結果を元に反省会を行いました。

約60項目あったアンケートの結果を全てスクリーンに映しました。



 参加者の皆様のスタッフへの平均評価は5点満点中4.76点で、私はスタッフとしてとても嬉しかったです。

 またスクリーンで結果を見ながら、実行委員とスタッフで今回のシンポジウムの良かった点、改善点を挙げていきました。


積極的に挙手をして発言される本多先生



 最後に集合写真を撮りました。




プロレスラーの武藤敬司さんを真似て集合写真を撮りました。


 シンポジウムスタッフの仕事はなかなか大変でしたが、勉強になることも多く、とても楽しかったです。機会があればまたお手伝いしたいと思いました。

2015年11月24日火曜日

腸内細菌共生機構学講座に配属された3年生が研究を始めました。

 腸内細菌共生機構学講座に配属された3年生の環境科学科 前田信吾君が、11月初旬から研究室に来ています。前田君は既に研究テーマが決まっており、早くも卒論に向けて研究を行っています。

ピペットマンを操作している前田君。
ピペットマンの操作は学生実験の時に1回しかしたことがないので、
まだ操作には慣れないそうです。




 前田君の特技は料理です。


前田君が作ったピザ(左)とシュークリーム(右)。
どちらも料理のキットを用いずに、小麦粉から生地を作っています。



 このようなご飯やお菓子を毎日作るほど料理好きだそうです。

 来年度にはあと2人の3年生が私たちの研究室に配属されます。研究室メンバーが増えてますます賑やかな研究室になりそうです!

2015年11月17日火曜日

日本ポリアミン学会 第7回年会に参加しました。

 11月13日・14日に京都工芸繊維大学で開催された日本ポリアミン学会 第7回年会に参加しました。
 今回の学会では研究員の阪中さんと杉山さんが口頭発表を行いました。
 口頭発表後の質疑応答の際には、頂いたすべての質問に対して、お二人は的確な回答をしていました。




口頭発表を行う阪中さん(左)と杉山さん(右)。


 私は大勢の人前で発表を行うと、緊張してしまうため、質問内容が分からなくなり、的確な回答をすることができなくなる時があります。私もお二人のように質問者の方に納得していただけるような回答をしたいと思いました。

 学会1日目の夜には前回のポリアミン学会と同様に懇親会が開催されました。前回の懇親会では研究室から一緒に参加した栗原先生に先生方を紹介していただいたお陰で、学会に参加されていたほぼ全員の先生方からお話を伺うことができました。今回の懇親会では1人で先生方の所へ積極的に行って、お話することができました。また、日本人の先生方だけではなく外国人の先生とも英語でお話しすることができました。




今回の学会で特別講演をされたEnzo Agostinelli先生(左から2番目)。
Enzo先生はゆっくりと英語をお話しされるので、
1回聞いただけで先生が話された内容を理解することができました。



 懇親会のあとには、先生方と研究員の方、学生合わせて10人で2次会を行いました。ポリアミンの定量分析を行う機械である「高速液体クロマトグラフィー」の話や研究以外の話など約3時間の2次会で話題が尽きることなくお話をして楽しかったです。




2次会でのお話に夢中になりすぎて、
ちょっと日本酒を飲みすぎてしまいました。



 今回のポリアミン学会では実験の結果がまだ途中だったため私は発表することができませんでした。現在、私は修士1年生なので、来年度に開催される次のポリアミン学会は私が参加できる最後のポリアミン学会になります。来年度の学会では発表できるよう、計画的に実験を行おうと思います。

2015年11月10日火曜日

第8回北陸合同バイオシンポジウムでスタッフとして仕事をしました。

 腸内細菌共生機構学講座・植物遺伝子工学研究室の研究室メンバーと食品微生物学研究室の学生で第8回北陸合同バイオシンポジウムのスタッフの仕事を行いました。


シンポジウムの閉会式時に撮影したスタッフの集合写真

 
 スタッフは口頭発表やポスター発表時に写真を撮影する係、コーヒーブレイク時のお茶とお菓子を出す係などの責任者となり、仕事を行いました。
 私・奈良は口頭発表をされる先生方がお持ちになったパソコンをプロジェクターにつなぎ、スクリーンに映すという、失敗の許されない重要任務を担当しました。

 シンポジウム本番1週間前に行った試写では、自分のノートパソコンを本番で使用するプロジェクターに接続し、パソコンの画面を問題なくスクリーンに写すことが出来ました。どんな種類のノートパソコンでもスクリーンに映せるように、自分のWindowsのノートパソコンだけではなくMacintoshのノートパソコンでも試写を行い、問題がないことを確認しました。
 準備は万全だと思っていましたが、本番当日にトラブルが起きました。シンポジウム開始5分前に、序盤で口頭発表される3人の先生方のノートパソコンを用いて試写を行うと、スクリーン上に映ったスライドの画面左端が10%ほど切れました。
 私は、このようなことを経験したことがなかったので解決方法が分からず、とても困りました。しかし研究員の阪中さんにパソコンのディスプレイの解像度を変えるという解決方法を教えていただいたおかげで、スクリーン上に画面が切れることなく映すことがきでました。


トップバッターの小柳先生の口頭発表。
解像度を変えた結果、画面は切れていません。


 ところが、シンポジウム1日目の後半にご講演を行う先生のパソコンで、ディスプレイの解像度をどの設定に変えてもスクリーンの画面左端が切れるという問題が生じました。他の解決方法を探さなければと再び焦りましたが、ご講演を行う先生にpowerpointをPDF化すれば解決することを教えていただきました。

 この2つの解決方法で2日間、ほぼ問題なくすべての講演者の先生方の発表内容をスクリーンに映すことができました。多くの方に助けていただいた2日間でした。

2015年11月4日水曜日

2015年11月6日(金)15:00~ 研究室見学会を行います。

 准教授の栗原です。

 現在、研究室分属決定期間中の、食品科学科の3年生を主な対象として、研究室見学会を行います。研究室によって相性があり、マッチングは非常に重要です。腸内細菌共生機構学への分属を検討されている方は、必ず、一度は研究室にお越しください。


日時: 2015年11月6日(金)15:00~
場所: i-Bird104号室(研究室の居室です。)
内容: 研究内容紹介、ラボツアー、スタッフとの相談会、学生・研究員との相談会

 
 特に、腸内細菌共生機構学に現在所属する学生さんたちと話すことはとても重要だと思います。教員と学生では感じていることが全然異なりますので、教員と話すだけで満足していては、研究室配属を誤る恐れが大きいです。

 後悔のない研究室配属が出来るように、皆様、十分に情報収集を行ってください。


2015年11月2日月曜日

第8回北陸合同バイオシンポジウムで研究員の杉山さんが「ポスター優秀賞」、修士1年の奈良が「ポスター最優秀賞」を受賞しました。

 2015年10月30日と31日に石川県・山中温泉で第8回北陸合同バイオシンポジウムが開催されました。今回のシンポジウムでは口頭発表とポスター発表の2形態の発表が行われました。
 腸内細菌共生機構学講座では、研究員の阪中さんと杉山さん、修士1年の谷内さん、同じく修士1年の奈良の4人がポスター発表を行いました。このほかに栗原先生が世話人代表、学部4年生の白石さんがスタッフとして学会運営に当たりました。(ポスター発表を行った4人もスタッフとして学会の運営を行いました。)

 ポスター発表は45分間行われました。私は発表時間中に途切れることなく参加者の方に研究内容の説明をしたため、45分間の発表はあっという間に感じました。



私・奈良のポスター発表の様子。
同時に5人の参加者の方に研究内容を説明した時もありました。



 また、ポスター発表終了後の総合討論会の時にも、4人の先生方や学生に研究内容に興味があるので聞きたいと言ってくださったので、何回かポスター発表を行いました。

今回のポスター発表では、ポスター投票が行われました。良いと思ったポスターに参加者全員が投票を行い、最も得票数の多かったポスターが「ポスター最優秀賞」、2位から6位までの得票数だったポスターが、「ポスター優秀賞」として、表彰されました。
 腸内細菌共生機構学講座からは研究員の杉山さんが「ポスター優秀賞」を受賞しました。

 そして、なんと、私・奈良のポスターが「ポスター最優秀賞」を受賞しました!

 さまざまな分野の研究をしている参加者の方に自分の研究内容の面白さが伝わったことが分かったので、とても嬉しかったです。




ポスター受賞者全員と実行委員長 三沢先生(右から3番目)との集合写真。


 実は、私はスタッフとして賞状に受賞者の名前を書く仕事をしていたので、自分の賞状の名前は自分で書きました。


ちなみにこの賞状の印刷もわたしがやりました。



 来年の第9回北陸合同バイオシンポジウムでポスター発表があれば、また発表したいと考えております。次は運営サイドではない立場でポスター賞を取りたいです。そのために研究をより一層頑張って結果を出したいと思います。

2015年10月27日火曜日

10月26日(月)に第8回北陸合同バイオシンポジウムの会場に実地調査に行きました。

 第8回北陸合同バイオシンポジウム開催まで残り3日となり、シンポジウムに向けた準備がより一層本格化していきました。
 昨日はシンポジウムのスタッフで口頭発表が行われる山中温泉にある「山中座」と宿泊所兼ポスター発表会場である「すゞや今日楼」に下見に行きました。

 山中座では、シンポジウムで使用するスクリーンに実際にパソコンの画面を試写して問題なく映ることを確認し、クロークの場所を見学しました。山中座のスクリーンとプロジェクタはとてもよいもので、画面はとても大きく、明るく、鮮やかでした。


 すゞや今日楼では、宿の須谷社長と話し合いをしながら、当日の段取りを決めていきました。
 
 まずポスター会場でポスターの配置方法を検討しました。


ポスターを何枚貼ることができるか確認するために壁の長さを測っているところです。
ポスター会場の部屋の壁はこのように綺麗な朱色なので、ポスターが良く映えそうです。

 
 次に、すゞや今日楼社長ご自慢の露天風呂を見学しました。


山中温泉の伝統工芸である山中漆お椀を模したお風呂です。

 まだまだスタッフとして準備しなければならないことがたくさんあります。残りの3日も準備を頑張りたいと思います。

2015年10月19日月曜日

新たに購入した腸内細菌が研究室に届きました。

 2015年10月8日に新たに購入した腸内細菌が研究室に届きました。購入した腸内細菌の菌種名は「Pseudoflavonifractor capillosus」です。

 今回はアメリカの菌株保存・分譲機関であるATCC(American Type Culture Collection)から腸内細菌を購入しました。ATCCから届いた段ボールは菌1種しか入っていないとは思えないほどサイズが大きかったです。

ATCCから届いた段ボール。隣のボルテックスとサイズを比較しても大きいことが分かります。

 段ボールの中には大量のドライアイスが入っており、さらにドライアイスからは大量の煙が出ていたので腸内細菌が入っているケースをなかなか見つけることができませんでした。

ドライアイスの中に手を突っ込み、手探りで腸内細菌がはいったケースを探す杉山さん。


 約5分探して、ようやく腸内細菌が入った包みを見つけることができました。

目的の包みが見つかって笑顔の杉山さん

 包みを破り、2重になっていた箱を開けてという工程を経て、ようやく腸内細菌入りのチューブに到達しました。

杉山さんの右手にある小さなチューブにPseudoflavonifractor capillosusが入っています。


 ここまで過剰に包装する必要があるかと疑問に思いましたが、研究室の腸内細菌コレクションが増えたのでとても嬉しかったです。この腸内細菌を使ってこれからもより多くの研究を行いたいです。

2015年10月13日火曜日

石川県立大学 食品科学科 食品微生物学研究室の小柳先生、河田さんが共同研究に来ました。

9月14日から10月1日にかけて石川県立大学 食品科学科 食品微生物学研究室の小柳喬先生と4年生の河田明輝さんが共同研究に来ました。

今回の共同研究では、様々な腸内細菌として私たち研究室で作製した96 well plate上にある腸内細菌約60種を用いることになりました。

共同研究初日には、嫌気チャンバー内で腸内細菌の培養を行いました。腸内細菌を培養する培地を96 well plateに分注し、腸内細菌の培養液を培地入りの96 well plateに植菌していく操作を8連マルチチャンネルピペットで行いました。

8連マルチチャンネルピペット。一度に8ヶ所のウェルに液体を分注できる便利な器具です。


8連マルチチャンネルピペットを使用することと、嫌気チャンバー内での操作は河田さんにとって初めてでした。8連マルチチャンネルピペットは、油断するとチップがしっかり刺さらず、空気が漏れることで8ヶ所で取った液量に差が出ます。60種の腸内細菌を同じ条件下で培養するためには培地の量、培養液の量は平等にならなければなりません。


上の写真のように8連マルチチャンネルピペットに黄色チップをさして液体を吸います。


嫌気チャンバー内での操作では、河田さんは装着したグローブのゴムに腕を締め付けられながら、8連マルチチャンネルピペットに8つのチップを同時にしっかり刺すこと苦戦しながら実験をしていました。


8連マルチチャンネルピペットを用いて培地を分注している河田さん。作業中盤には8連マルチチャンネルピペットに慣れていき、サクサクと培地を分注していました。


小柳先生、食品微生物学研究室に所属している修士2年生の増田さん、さらに栗原先生と私・奈良が見守る中、約2時間にも及んだ嫌気チャンバーでの作業を終えました。
作業後の河田さんの感想は「常に人に見られながら作業をしたのでかなり緊張した。」でした。


実験後の河田さん。実験前はこの写真よりも3割増しの笑顔でした。



河田さん、本当にお疲れ様でした。

2015年10月6日火曜日

2015年10月30日~31日に第8回北陸合同バイオシンポジウムが開催されます。

 2015年10月30日~31日に第8回北陸合同バイオシンポジウムが石川県・山中温泉で開催されます。腸内細菌共生機構学講座では、栗原先生がこのシンポジウムの代表世話人であることから、メンバーがスタッフとして会の運営に当たる予定です。

 例年、北陸合同バイオシンポジウムでは生物学関連で、幅広い研究分野の講演やポスター発表会が行われます。

準備中の要旨集の表紙です。

 
 さらに夜にはシンポジウム参加者との交流会が設けられています。そこでは普段なかなか話す機会がない他大学の先生や学生、企業の方々と研究の話などを
することができます。
 私・奈良は昨年の第7回北陸合同バイオシンポジウムに参加しました。その時にも交流会があり、明け方4時までシンポジウムの参加者と研究の話や、就職活動についての話をして、とても充実した時を過ごすことができました。

 今年は、シンポジウムに参加するだけでなくポスター発表を行います。今回のシンポジウムでは、参加者の方とより深く研究内容についてディスカッションしたいと思います。

2015年9月29日火曜日

2015年9月10日(木)第4回 腸内細菌共生機構学特別セミナー「腸内におけるホストと腸内細菌の相互作用」を行いました。

 9月10日に第4回 腸内細菌共生機構学特別セミナー「腸内におけるホストと腸内細菌の相互作用」を行いました。今回のセミナーでは近畿大学の芦田久先生と、千葉大学の川島博人先生に講演していただきました。また、石川県立大学から応用微生物学研究室の加藤紀彦先生、腸内細菌共生機構学講座からは片山先生と栗原先生も発表を行いました。今回の腸内細菌共生機構学特別セミナーでは過去最多の人数の先生が発表を行いました。

芦田先生は「腸内における共生にかかわるビフィズス菌の酵素群」について、

山本先生と芦田先生の質疑応答


川島先生には「大腸上皮細胞特異的オートファジー欠損マウスにおける腸内フローラの変化と大腸炎増悪化」についての発表をしていただきました。

講演される川島先生



 私の研究テーマと同じ腸内細菌に関するご講演でしたが、芦田先生の糖の代謝に関わる酵素のお話、川島先生のホスト側の免疫のお話は私の研究とは違う分野でした。普段勉強していない研究に関する発表を聞くことで、大きな刺激を受けました。

 セミナー後に懇親会を行いました。

学長の熊谷先生と応用微生物学研究室の先生方や学生も懇親会に参加され、とても賑やかな飲み会になりました


 川島先生は過去に静岡県立大学で勤務されておられた時に、数年間静岡市に住んでいらっしゃったこともあり、静岡県の特産物であるカツオやしらす、サクラエビの話で大いに盛り上がりました。

2015年9月15日火曜日

2015年9月5日~9月6日に能登へ研究室旅行に行きました。(旅行2日目)

 今回は研究室旅行2日目について書きます。2日目は、「のと海洋ふれあいセンター」に行きました。のと海洋ふれあいセンターには魚を飼育する展示室とマリンシアターがあります。
展示室では九十九湾に生育するサザエやうに、ナマコなどを直接触ることができました。

いけすに長時間いたので、おいしそうではありませんが、活発に動いていたサザエ。

 
 さらに、展示室には九十九湾の海中にある海藻類の密集地「海中林」を再現した水槽がありました。

魚の顔真似をする谷内君。

 マリンシアターでは実際の能登の海中を3D(立体)映像で見ることができました。子供たちは目の前まで迫ってくる魚を捕まえようと一生懸命手を動かしながら映像を見ていました
。一方、大人の中には前日に夜遅くまで行われたディスカッションの疲れが取れないのか、眠そうにしながら映像を見ている人がいました。


3D眼鏡をかけてカッコよく決めた集合写真。シアタールームは貸し切りでした。


 本来ならば、のと海洋ふれあいセンターの周辺にある海で水中眼鏡を用いて実際に海中の魚を観察する予定でしたが激しい雨が降っていたのでできませんでした。昨年の研究室旅行と同様、今年も天候に恵まれず残念でしたが、2日間でリフレッシュできたので良かったです。

2015年9月8日火曜日

2015年9月5日~9月6日に能登半島へ研究室旅行に行きました。(旅行1日目)

 そろそろ嫌気チャンバーのネタも飽きてきたと思いますので、研究室旅行について書こうと思います。今週は旅行1日目について書きます。今年の研究室旅行の場所は能登半島でした。研究室メンバーだけでなく、その家族や昨年度腸内細菌共生機構学講座で勤務していた研究員の後藤さんも旅行に参加したので、とても賑やかな旅行となりました。

 今回の旅行先である能登半島は2011年に世界農業遺産に登録された地域であり、NHK連続ドラマ小説「まれ」や映画の舞台にもなっています。能登半島は大学の所在地と同じ石川県内にありますが、大学から能登半島にある目的地までの距離は約150キロもあるため非常に遠く、車で行くと約3時間もかかりました。
 
旅行1日目は2つのイベントがありました。まずは能登半島の先端付近にある九十九湾内を約30分で一周する遊覧船に乗りました。

遊覧船前での集合写真

 この遊覧船は湾内を周るだけでなく、途中で4つのいけすが集まっている場所に寄ります。ここではいけすの中にいる能登半島の魚やタコに餌をあげることができました。かぼちゃとスイカをいけすに投げると、数十匹の魚が勢いよく餌を取り合う姿を見ることができました。魚がかぼちゃとスイカを食べるとは驚きでした。魚が餌を取り合う様子はとても面白く、大人も子供も夢中になって餌を投げていました。



 
 もう一つのイベントは宿泊した民宿での夕食です能登半島は魚がおいしいことで有名なので、漁港の目の前にある宿に泊まることを決めました。

夕食前の集合写真。皆、笑顔です。

 ネットの口コミでは夕飯の刺身が特に新鮮でおいしい魚を食べることができると書いてあったため楽しみにしていましたが、能登半島では取れないはずのサーモンとカツオの炙りが中心となった刺身が出るなど、地物を使っている気配が薄く、とても残念でした。

 その後、部屋での飲み会ではおいしい石川のお酒とともに、ディスカッションで大いに盛り上がりました。

 次回のブログでは旅行2日目について書きます!

2015年9月1日火曜日

腸内細菌約60種のグリセロールストックを96 well plate上に作製しました。

 2015年8月26日から28日にかけて腸内細菌約60種の培養液の入った96 well plateを20枚作製しました。
 ヒトの腸内には一人当たり100種類以上の腸内細菌が存在しており、さまざまな代謝産物を通じて私たちの健康に影響を与えています(Nature 514: 181-18(2014)、Cell 115: 1451-1463(2013))。この影響を調べるためには、主要な腸内細菌について研究する必要があります。ヒトの腸内細菌のうち最優勢の上位56種についてはすでに学術論文で報告があります(Nature, 464:59-65 (2010))。腸内細菌共生機構学研究室ではこれらの腸内細菌について入手可能なものすべてをコレクションしています。腸内細菌の培地の多くはとても複雑な作製法をもつものが多く、培地を作るだけで一日仕事になることも多いです。そこで、作製が容易なGAM培地(Gifu anaerobic medium)に生育する約40種をこれまでに確認しました。
 多くの研究室では、-80℃で凍らせて細菌を保存しています。しかし、菌の培養液をそのまま凍らせると菌が死んでしまいます。そこで保護剤としてグリセロールを培養液に混ぜた上で-80℃の冷凍庫に入れ、保存します。(この方法は微生物の保存法としてよく用いられます。)この凍らせた培養液のことをグリセロールストックと呼びます。これまでの実験では、グリセロールストックから試験管に一つ一つ植菌し、実験を始めていましたが、数10種類の菌をグリセロールストックから植菌するのは1時間以上かかる上に、グリセロールストックの一部が凍結融解されるため、劣化する恐れがありました。そこで、96 well plate(写真1)の中でグリセロールストックを作って使い捨てで使えばよいと考えました。

写真1:96 well plate。96個の穴が開いています。



そうすれば、植菌スタンプ(写真2)

写真2:植菌スタンプ。96本の針がついています。


を用いて、一度にたくさんの腸内細菌を植菌することができます(写真3)。

写真3:培養液のついた針を、96 deep-well plateに入った液体培地に触れさせると
最大96種の菌を約3秒で植菌できます


 また、96 well platを使用すれば生育の度合いを知るための濁度の測定も一度にできるため実験操作がより簡便になります(写真4)。

写真4:最大96 well 分の濁度を約10秒で測定できます


 今回グリセロールストックをした腸内細菌は、GAM培地に生育する主要な腸内細菌と、乳酸菌、ビフィズス菌などです。これら約60種類の菌の培養液にグリセロールを加え、これを20枚の96 well plateに分注しました。植菌や分注などコンタミネーションの恐れがある操作はすべて栗原先生が嫌気チャンバー内で行いました(写真5)。
写真5: 96 deep-well plate内の培養液をマルチチャンネルピペットマンで
96 well plateに分注していく栗原先生


 腸内細菌の種類と作製したプレートの枚数が多かったため、これらの実験操作はかなりの時間がかかりました。(途中約5分の休憩を3,4回挟みましたが、14時から開始した作業が終わったのは18時でした。)さらに前日まで嫌気チャンバー内の湿度はいつもより高めに設定しており、作業当日の嫌気チャンバー内の湿度が高かったため約4時間嫌気チャンバー内に手を入れていた栗原先生は今までにないぐらい汗だくでした。(この時嫌気チャンバー内の湿度は約70%を超えていました)
(写真6)

写真6:完成した20枚の96 well plate。嫌気チャンバー内の床を覆い尽くすほどの枚数です。



 また、このような長時間、嫌気チャンバーに手を入れて実験をしている人を隣で見たのは初めてでした。これからこれを使ってたくさんの実験を行う予定です!

2015年8月25日火曜日

2015年8月24日 ポケットゼミが始まりました。

 今年もポケットゼミ(研究室配属前の学生が、研究室に行き、その研究テーマに沿ったミニ研究を行うという制度。)が始まりました。今回のポケットゼミは生産科学科2年の飛鳥井麻結さんがポケットゼミに参加し、約1週間研究することになりました。

 飛鳥井さんが考えた研究テーマは「兼六イモ摂取前後における、イヌの腸内細菌叢の組成の変化」です。研究サンプルには飛鳥井さんの愛犬アポロ(柴犬)の兼六イモ摂取前後の糞を使用しました。兼六イモは1935年(昭和10年)~1940年(昭和15年)にかけて石川県でつくられたサツマイモの品種で、今回実験に使うものについては、生産科学科の坂本知昭先生に頂きました。
 今日の実験内容は、兼六イモを10% (w/v) 含むオリジナルのGAM寒天培地にイヌの糞をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に希釈したものを塗布することでした。

兼六芋含有GAM培地。兼六イモの粒と皮が残っています。



 絶対嫌気性のものが多い腸内細菌を出来るだけ生きた状態で扱う目的で、これら操作を全て嫌気チャンバー内で行いました。

右手に持ったピペットマンでイヌの糞をPBSに一生懸命懸濁する飛鳥井さん



 飛鳥井さんにとって嫌気チャンバーに手を入れて実験をすることも、ピペットマンを用いることも初めての体験でした。さらに約1時間も嫌気チャンバー内で操作をしていました。飛鳥井さんは初めての実験操作を嫌気チャンバー内で長時間行っていたため、実験終了後はとても疲れた様子でした。(何度も書きますが、嫌気チャンバーの中は37℃、湿度60%なので暑いです。その暑い中、操作をする際に装着するグローブのゴムによって締め付けられた腕を動かさなければなりません)
 
 飛鳥井さんのポケゼミでの目標は「微生物実験の実験手法を学ぶことと実験ノートを分かりやすく書けるようにすること」です。あと1週間頑張ってください!

2015年8月21日金曜日

2015年9月10日(木)第4回 腸内細菌共生機構学特別セミナー「腸内におけるホストと腸内細菌の相互作用」を行います。

 久しぶりに栗原が書いております。
 9月10日(木)に第4回 腸内細菌共生機構学特別セミナー「腸内におけるホストと腸内細菌の相互作用」を行います。

セミナーポスター(クリックすると拡大されます。)

 今回のセミナーでは腸内細菌とホストの関連を、腸内細菌側から研究されている近畿大学の芦田久先生と、ホスト側から研究されている千葉大学の川島博人先生をお招きます。
 芦田先生のご発表の演題は「腸内におけるビフィズス菌の酵素群」、川島先生のご発表の演題は「大腸上皮細胞特異的オートファジー欠損マウスにおける腸内フローラの変化と大腸炎増悪化」です。

 今回は、石川県立大学からも応用微生物学研究室の加藤先生、腸内細菌共生機構学講座からは栗原と片山が発表を行います。

日時:2015年9月10日(木) 15:00~18:30
場所:生物資源工学研究所212号室(講義室)

 専門的な内容も含まれるセミナーですが、最先端の研究に触れるよい機会となりますので、学部生・大学院生の皆さんの来聴を歓迎します。多数の皆様のお越しをお待ちしております。

 


2015年8月18日火曜日

2015年8月10日 生物資源工学研究所シンポジウム「モダンバイオテクノロジーのフロンティア」で栗原准教授が「細菌が細胞外へ放出するポリアミンの生理的意義とその利用」という演題で口頭発表を行いました。

 810日に石川県立大学附属 生物資源工学研究所のシンポジウム「モダンバイオテクノロジーのフロンティア」が開催されました。このシンポジウムは生物資源工学研究所で行われている研究を沢山の人に知ってもらうために行われたもので、今回は研究所に所属する6人の先生方が自身の研究成果を発表しました。私は研究室メンバーと一緒にこのシンポジウムに参加しました。

 シンポジウムでは栗原先生が「細菌が細胞外へ放出するポリアミンの生理的意義とその利用」という演題で口頭発表を行いました。

生物資源工学研究長の山本憲二先生(右)から紹介を受ける栗原先生(左)

腸内細菌のポリアミン輸送・代謝系の同定が重要であることを力説する栗原先生

ポリアミンの代謝経路を示している時、栗原先生は目の前にいた学生に「ここまで大丈夫?」と声掛けをしながら発表していました。
私が栗原先生の発表で一番驚いたことは、google「嫌気チャンバー」と画像検索をする1ページ目に私と嫌気チャンバーとの2ショット写真が2枚も出てくるということでした。

スクリーンに映っている写真が画像検索で出てくる写真のうちの一枚です。
ちなみに画像検索で引っかかる
2枚の写真は微妙に髪型が違います。


シンポジウム終了後、栗原先生は「同じ組織にいる先生方の研究内容を体系的に聞く機会がなかなか無かったので、今回のシンポジウムはとても面白かった」という感想を述べていました。

私も他の研究室がどのような研究をしているか詳しくは知りませんでした。今回のシンポジウムでは、自分の研究の分野以外の人でも内容を理解できるように先生方は研究のイントロダクションの説明に時間をかける等などして分かりやすく発表してくださいました。そのおかげで私は全ての先生方の研究内容をしっかり学ぶことができました。


 このようなシンポジウムを来年度にも行う予定だそうです。来年度のシンポジウムも参加したいと思います。